「すみません、うちは現金だけなんです」とお伝えした瞬間、お客様が申し訳なさそうに商品を棚へ戻す。そんな場面に心当たりはありませんか。最近は財布を持たず、スマホ1台で買い物を済ませる方が増えています。キャッシュレス決済(現金を使わずに、カードやスマホで支払う仕組み)に対応していないことが、知らないうちに売上を逃す原因になっているかもしれません。
本記事では、ITが得意ではない個人店のオーナーでも無理なく始められる、キャッシュレス決済の基本と導入のポイントを解説します。
キャッシュレス決済には大きく3つの種類がある
ひと口にキャッシュレスといっても、主に次の3種類があります。
- クレジットカード:観光客や高単価の買い物で特に利用されやすい
- 電子マネー:交通系ICカードなど、端末にかざすだけで支払える
- QRコード決済:スマホアプリでQRコード(白黒の四角い模様のコード)を読み取って支払う
すべてに一度に対応する必要はありません。まずは自分のお店のお客様がよく使いそうなものから選ぶのがおすすめです。たとえば若い世代や地元の常連が多いならQRコード決済、観光客が多い立地ならクレジットカードを優先する、といった考え方です。
導入前に確認したい「手数料」と「入金のタイミング」
キャッシュレス決済で必ず確認したいのが、決済手数料と入金サイクル(売上がお店の口座に振り込まれるまでの期間)です。
決済手数料は、売上の数%程度が差し引かれるのが一般的です。「手数料がもったいない」と感じる方もいるでしょう。しかし、レジ締めで現金を数える手間や、釣り銭を用意するために銀行へ行く時間が減ることを考えると、トータルでは負担が軽くなるケースも少なくありません。
また、入金サイクルはサービスによって「翌日」「月1回」などさまざまです。仕入れの支払いが多いお店では、入金が遅いと資金繰りが苦しくなることがあります。契約前に、手数料とあわせて必ず比較しておきましょう。
和菓子店を営むBさんの導入事例
商店街で夫婦2人の和菓子店を営むBさんは、長年「現金のみ」で営業してきました。しかし、手土産を買いに来た会社員から「カードは使えますか」と聞かれることが増え、導入を決意します。
Bさんがまず始めたのは、専用端末が不要なQRコード決済でした。レジ横にQRコードを印刷したスタンドを置くだけで、初期費用はほとんどかかりません。数か月後、手応えを感じたBさんは、スマホやタブレットに小型のカードリーダーをつなぐタイプの端末も導入し、クレジットカードと電子マネーにも対応しました。
その結果、まとめ買いをするお客様が増え、1回あたりの購入金額が上がったそうです。さらに、売上がアプリ上で自動的に記録されるため、日々の帳簿づけも楽になったといいます。
失敗しないための3つのポイント
最後に、導入時に気をつけたいポイントを整理します。
- 「使えます」をしっかり伝える:入口やレジ横に対応ブランドのステッカーを貼り、お客様が入店前に分かるようにする
- 操作に慣れておく:混雑時に慌てないよう、家族やスタッフと一緒に返金やキャンセルの手順まで練習しておく
- 通信環境を確認する:決済にはインターネット接続が必要なため、電波が弱い場所では事前にテストしておく
まとめ
キャッシュレス決済は、もはや大きなお店だけのものではありません。QRコード決済のように、ほとんど費用をかけずに始められる方法もあります。大切なのは、手数料や入金サイクルを確認したうえで、自分のお店のお客様に合った決済方法から小さく始めることです。
「現金のみです」とお客様に謝る場面を減らすために、ぜひ今日から一歩を踏み出してみてください。
